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日本側もアメリカにいわれることが多くあるが、アメリカに日本が「財政赤字を減らす努力をし、貯蓄率をあげるように」と注文をつけるようなことが、かつては考えられただろうか。
「NOと言える日本」というような言い方がもてはやされているが、R政権、B政権時代には日本はことあるごとに、こう注文をつけていたのである。
大統領の責任、権限の内容も変わりつつある。
こうみてくると、アメリカの大統領の責任はとても重いが、T大統領が感じた「すべての責任はここが最後だ」というのとは違ったものになりつつあるといえるのかもしれない。
アメリカ政治に関する数ある表現のなかでも、副大統領の立場を表すHAFPほど生々しくすごいものはない。
素直に訳せば「心臓の鼓動が聞こえるほど大統領に近い」という意味だが、実際には「大統領の心臓の鼓動が止まれば大統領職に就く」という意味で使われているから、そこには大統領の死というものが含意(がんい)としてある。
1992年1月の訪日時、M首相主催の晩餐会の席で、インフルエンザにかかっていたB大統領が不覚にも倒れ、その姿がテレビで世界に流されたことがあった。
この光景を見て多くのアメリカ人が再び、C副大統領を次期副大統領候補から降ろすべきだ、と考えるようになった。
その8カ月前には、ジョギング中のブッシュ大統領に不整脈が現れ、「大統領御用達病院」とでもいうベきであろう。
セスダ海軍病院に入院したこともあったので、その時の不安が再燃した形となった。
候補から降ろさなかったが、このように副大統領候補はいつも大統領の健康との関連で話題となり続ける。
憲法では、大統領が死亡・辞任でいなくなった時には副大統領が昇格し、大統領が職務を遂行できなくなった場合には、副大統領が大統領代行となることが定められている(憲法修正25条)。
この条項は1967年に発効したが、それまではあいまいな規定の憲法2条に基づいて動かなければならなかった。
このためG大統領が18世紀に、W大統領が第l次世界大戦後、それぞれ重病になった時、副大統領は自分が大統領職を奪おうとしていると世間に思われるのではないかと懸念し、大統領の仕事を代行するのをためらうという事態があった。
戦後、A大統領も病気がちであった。
そこでN副大統領はA大統領とメモを交わし、大統領が執務できない時に副大統領がその職を代行する手順を定めた。
この合意事項がK、J両政権にも引き継がれ、憲法修正25条へと発展したのである。
それでも、たとえばR大統領が1985年7月ベセスダ海軍病院で直腸ガンの手術をうける時、麻酔が効いている間どうするかという問題が生じ、麻酔下にある時にはB副大統領に権限を委譲するという文書に署名した後で手術をうけるということがあった。
R大統領の副報道官だったRが退職後に「スピーキング・アウト」のなかでこのことを紹介している。
こうしたことを除けば、今では手続き面で職務引き継ぎに関する問題はほとんどなくなっている。
このことはつまり逆にいえば、1992年当時、訪日中のB大統領がいざという時には、C副大統領が自動的に昇格、あるいは代行となることがはっきり決まっていたということでもある。
だからこそheartbeatawayという言葉がなんとも生々しく感じられるのである。
こうして副大統領はその時の政権のナンバー2なのだが、実際の権限があるかというと、必ずしもそうではない。
大統領のさじ加減ひとつで重要な役にも就けるし、窓際族のようなことにもなる。
初代大統領のJの下で初代副大統領となり、その後2代目の大統領に就いたJが妻のAに次のように書いて嘆いたのは、アメリカの歴史の本にはよくでてくる有名な話だ。
わが国は、人が想像でき、人が思いつくことのできる職務のなかで、最も取るに足らないものをこしらえてくれたものだ)N大統領のスピーチライターで、コラムニストであったWによると、heartbeatawayの表現は1952年の大統領選挙で民主党候補のA・Sが共和党の副大統領候補だったNを攻撃するために初めて使ったという。
攻撃の仕方は、昔も今もあまり変わらない。
現大統領のBはスキャンダルに見舞われてはいるものの、健康状態には問題があるようにはまったくみえない。
しかも副大統領のA・Gは政権の重要人事に大きな発言権を持っている。
就任後、たとえば全米を高速コンピュータ網でつなぎ情報国家を目指そうという「インフォメーション・ハイウェー」政策を打ちだすという大きな役割を担ったし、外交政策でもC大統領の重要なアドバイザーになっている。
これを考えれば、C政権下での副大統領職はこれまでとはかなりニュアンスの違ったものだったが、次の政権ではどうなるだろうか。
現在の制度が続くかぎり、アメリカ国民はやはり大統領の鼓動を気にしていくのではないかと思う。
ホワイトハウスのMansion(中央の大きな建物で、国賓を招いた時のディナーを行う部屋などがある)とWestWing(西側のオフィスの棟)との聞に記者団が詰めるPressRoom(プレスルーム)がある。
このプレスルームの東半分には仕事用の個室などがあるが、西半分はBriefingRoom(記者会見室)になっていて、100人ほどの報道関係者が座れる椅子席になっている。
ここで主にPressSecretary(報道官)が、時には閣僚や大統領までがでてきて、その日の出来事を記者団に知らせる。
報道関係者でホワイトハウスに日常出入りするにはWhiteHousePressPass(ホワイトハウス記者証)をいつも首からぶら下げていなければならない。
これを入手するには、まず申請し、SecretServiceのオフィスで写真を撮ってもらい、指紋も取られ、何週間か待つ。
この問、シークレット・サービスは日本の警察に申請者の身元調べをしているとの噂がもっぱらだった。
学生時代に政治運動をしていたから発給が遅いのさ、などという冗談もでるが、発給を拒否された例を耳にしたことはない。
こうしてだされたバスを首にし、ホワイトハウス北側のHStreet(H通り)の通用門から入るのは晴れがましいものである。
ふつう正午からの定例記者会見はブリーフィングといわれ、そこに姿を見せる報道官は大統領補佐官クラスだ。
日本でいえば内閣官房長官にあたる人物だろう。
政権によってルールが少しずつ違うが、大統領が加わる会議はもちろん、そうでなくともホワイトハウス内での重要なものには顔をだし、ホワイトハウスの内情をきちっとつかんで、そのなかで発表すべきものは記者団に流すのが重要な行事となっている。
必要以上のものをだすと政権にマイナスになることもあるし、だし惜しみをしても記者団から反発を買って失敗する場合もでてくる。
B政権下での報道官はMだった。
ほとんどの報道官がそうであるように、彼ももともとは優秀な記者だった。
ワシントンの政界、官界を中心に報道している週刊誌Nの1990年7月7日号は、その年のある日のホワイトハウスの1日の動きを特集している。
それによると、B政権では朝7時半からRRoom(R・ルーム)でホワイトハウス・スタッフの首脳陣の会議があり、とれに報道官も出席してその日、記者団が関心を持ちそうなトピックを報告。
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